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公正証書遺言

多少、お金はかかりますが、遺言は公正証書にしておくことをお勧めします。

※「公正証書遺言」は、遺言をする方が、原則として公証役場に出向き証人2名立会いの下で公証人に遺言の内容を口授して、それを公証人が筆記して作成するものです。

【自筆証書遺言のデメリット】
(1)厳格な様式に合致していないと無効になる
(2)偽造、変造、紛失などの心配がある
(3)遺言者の意思と合致しているか争いになる
(4)遺言者の死亡後、家庭裁判所で検認の手続きが必要となる

【公正証書遺言のメリット】
(1)法律の専門家である公証人が作成に関与するので無効になることはありません。
(2)原本は公証役場に保管されますので、偽造、変造、紛失などの心配はありません。
(3)公証人が遺言者の口授を筆記しますので遺言者の意思を争う余地はありません。
(4)相続が開始したときは、家庭裁判所の検認は不要です。
(5)同様に、公正証書遺言で遺言執行者を指定しておくことによって預貯金の解約、払戻、名義書換等、また不動産の登記変更ができますので、そのために遺産分割協議書を作成することも不要です。従って、相続手続きがスムースに行えます。
  (ただし、一部の銀行では対応が異なるところもあるようです。)

行政書士に依頼するメリット

 遺言は、遺言をされるご本人の“意思”ですので代理人によってなすことはできません。
また、「推定相続人及び受遺者並びにこれらの配偶者及び直系家族」は証人又は立会人になることができませんので、ご両親あるいは身内の方の公正証書遺言を作成したいと思われている方は、行政書士に依頼して「遺言書の原案」を作成してもらい、遺言をするご本人は、その行政書士とその他1名合わせて2名の証人と共に公証役場に出向いて、「遺言書の原案」に合致した公正証書遺言を公証人に作成してもらう、という方法をお勧めします。

【特に行政書士に依頼することをお勧めできる方】

(1)ご両親または親御さんがご高齢で、万一の時に備えて、遺言書を作成しておいてもらいたい方
                 
(2)ご兄弟の間で、あるいはご兄弟のお子様達とも疎遠で、相続時に遺産分割協議がすんなりいかない危惧がある方
            
(3)公正証書遺言が特に必要な方で、ご本人様が「遺言書の原案」を作成すること、あるいは公正証書遺言作成に必要な書類を準備することが面倒な方



 公正証書遺言は、法律のプロである公証人が、遺言をされるご本人の口授を筆記して作成するものですから、形式的にも、内容の面でも法律的になんらの問題も生じません。

 また、遺言は代理人によってなすことはできないので、誰に依頼しても「遺言書の原案」の作成と「必要書類の準備と証人の手配」をしてもらう、ということになります。

 従って、公正証書遺言を作成する、という時点では、弁護士、司法書士という、それぞれ法律の専門家あるいは登記手続きの専門家にお願いするまでもなく、「書類作成の専門家」である行政書士に依頼するのが、ご依頼主様の経費を少しでも節約できる方策だと思います。

 弁護士には、遺言作成時ではなく、相続時にトラブルが生じたとき、あるいは多額の遺産があり遺産分割協議がもめそうなとき、司法書士には、相続時に不動産の名義変更を依頼するとき、というように「遺産の内容」「相続人間での争いがあるか」によって相続開始時に判断されたらいかがかと思います。

遺言の方式

遺言の方式には、大きく分けると「普通方式」と「特別方式」があります。

普通方式には、(1)自筆証書遺言(2)公正証書遺言(3)秘密証書遺言の3種類です。
また、特別方式には、危急時遺言と遠隔地遺言の2種類です。
当事務所では、原則、普通方式の「公正証書遺言」ですが、その他の方式について、
ご参考までに説明致します。

「自筆証書遺言」は、読んで字の如く、ご自分で遺言書を書いて保管しておく
遺言の形式です。一般のご家庭でよく見受けられる方式です。
「秘密証書遺言」については、ちょっとなじみの薄い方式ですが、遺言書の
存在を明らかにしながら、遺言の内容を他者に秘密にして保管できます。
自筆証書遺言を公証人及び証人2人の前に封書を提出する、ということですが
その内容については公証人は関与しません。役場①と②の折衷方式ともいえます。

「危急時遺言」とは、疾病その他の事由によって死亡の危急が迫っているとき、
あるいは船舶が遭難した場合で、その船舶内にあって死亡の危険が迫ったとき
「遠隔地遺言」とは、伝染病隔離者、あるいは船舶中に在る者の特例です。


 

相続放棄とは

相続放棄とは

大きく分けて2つの意味合いがあります。
(1)亡くなった方が多くの借金を残していて、相続放棄したいとき
(2)他の法定相続人に相続放棄をしてもらいたいとき

(1)のケースは、相続開始があったことを知ったときより3か月以内に
  家庭裁判所に対し、相続放棄申述書を提出します。
   また、「相続によって得た財産の限度においてのみ亡くなった方の
  債務及び遺贈を弁済すべきことを留保して、相続の承認をする」こと
  のできますが、相続人が数人あるときは、この「限定承認」は「全員が
  共同してのみ」これをすることができます。

(2)のケースは、「公正証書遺言」を作成しておくことによって解決できる
  場合もあります。法定相続人の間でスムースに話し合いがもたれ、必要
  があれば相続放棄してもらう、ということが一番良い方法ですが、遺産
  分割協議で争いになることもあり、法定相続人の「印鑑」がもらえない
  ということも想定して事前に「公正証書遺言」を作成する、あるいは
  ご両親には作成しておいてもらうようにすることをお勧めします。

いずれにしましても、
 相続放棄は、相続の開始前にすることはできません。 

「相続させる」趣旨の遺言

「相続させる」趣旨の遺言

 自筆遺言書の場合には、成立要件としての要式性に問題がなくても、
その文章のいいまわしについて法的に正しく作成することは結構困難です。

 その点、公正証書遺言の場合には、法律のプロである公証人が関与
しますので、方式そして内容についても安心です。

 一般的には、「遺言者は○○を、誰だれに相続させる」と表記しますが
「相続させる」趣旨の遺言は、「民法908条にいう分割方法の指定に
あたり、遺産分割協議・審判に服させる必要はなく、被相続人の死亡
により当該財産は受益者に確定的に移転する」との最高裁の判例があります。
そして、実務界でも定着しているとのことです。

 あとは、遺留分の問題が残りますが、これには解釈上、学者間でも
また弁護士あるいは公証人等の法律実務家のプロの方でもいろいろ
異なる意見があるようですので、遺言書を作成するときには、できる限り
「遺留分」を侵害しないようにすることを心がけることが必要です。

 ただし、「遺留分」を考慮しても、具体的には相続財産を公平に分割して
指定することが難しいときには、公正証書遺言に「付言」を記すことで
「遺言者の気持ち」を相続人に伝えておくこと。それによって、後日の
相続人間の紛争がおきないようにしておくことが大切だと思います。

遺言書と任意後見契約

 知的障害者や精神障害者のお子様をお持ちで、ご本人の老後あるいは
死後、お子様の将来を心配なさっている方もいらっしゃると思います。

 お身内の方で、そのお子様の生活面をサポートしていただける方が
いらっしゃるならともかく、信頼できる親族の方がいない、あるいは
まったく親戚付き合いもないという方にとっては切実な問題です。

 お子様の障害の程度にもよりますが、お子様に意思能力があれば、
お子様自身が任意後見契約を締結することも可能ですが、お子様の
障害の程度が重い場合には契約することができなくなります。

 そこで、親御さん自身がまず備えておくことは、

(1)親(ご本人)を委任者として任意後見契約を締結する。
 親自身の老後の財産管理に関して、親の財産の中から必要な生活費等
 を定期的に子に支給する方法を委任する

(2)親の死後に備えて
 ア 遺産分割及び遺言執行者を指定する「遺言書」を作成する
 イ 親の死後、子に相続させた財産の管理を子の任意後見人に委託する
   方法を定める
 ウ 親の死後、子の介護等の事実行為を第三者に委託する準委任契約
   をあらかじめ締結する
 上記を組み合わせて、お子様の保護を図ることになります。

 任意後見契約は、「公正証書」によって作成することが義務付けられて
いますので、依頼者の方にとっては安全な契約ができるものと思います。

 また、「遺言書」も公正証書で作成することによって上記の任意後見契約
と併せて一括して法律のプロである公証人(元判事・検事等)から法律面で
指導・助言してもらえますのでお子様にとっても安全です。

 あとは、どなたを「任意後見人」の受託者としてお願いするかです。

 そして、どの程度の範囲を「委任」するか、ということも大切です。

公証人の仕事

 ある公証人のお話では、「公証人の仕事」を知っている人は一割程度の方
しかいないようです。公証人は法曹資格を有する方がほとんどで、法律の
専門家であるにもかかわらず公証人や公証制度の知名度が無きに等しいこと
が残念だ、とも言っておられます。

 確かに、「公証役場に出向く」ということは、業務上よく公証役場を
利用している方ならともかく、なかなか縁遠いところです。

 でも、最近は特に公証人の方たちが市民に近い存在になってきているように
感じます。そして、法律知識を持たない人を対象者と想定して極めて初歩的な
内容で「出前講座」をしている公証人の方もいらっしゃるようです。

 公正証書遺言を作成するメリットは、なんといっても法律の専門家である
「公証人」が遺言者の遺言能力と遺言意思を直接確認して、かつ法的に問題
が生じない「遺言書」を作成してしていただけることにあります。

 遺言書に限らず任意後見契約、尊厳死宣言公正証書等についても公正証書
を作成することも公証業務ですので、ご利用されることをお勧めします。

 それでも、ちょっと敷居が高いな、と思われる方は行政書士にご相談ください。
公証役場に出向く前に、ドラフト作成等につきゆっくり時間をかけてご一緒に
遺言書の作成準備を致しましょう。

予備的遺言のお勧め

「相続させる」旨の遺言は、特段の事情がない限り「遺産分割の方法を指定したものである」として実務もこれに従っています。

 ところで、遺言者である夫が「遺言者所有の甲財産を遺言者の妻Aに、乙財産を遺言者の長男Bに、丙財産を遺言者の二男Cにそれぞれ相続させる」とした遺言書を作成した場合に、妻Aが遺言者より以前に死亡した場合は、妻Aに相続させるとした甲財産はどうなるのでしょうか?

 甲財産を妻Aに相続させるとの遺言部分は効力を生せず、甲財産は法定相続の法理によって処理されることになります。

 甲財産が遺産分割の対象となりますが、甲財産が不動産の場合には、甲財産をどのように分割するかを決めることは容易ではありません。

 そのようなケースを想定して、公正証書遺言を作成するときには、「予備的遺言」を活用するよう、公証人の方も皆さんに広く勧めています。

 あまり、いろいろな場面を想定する必要はないとは思いますが、

 (1)配偶者への「相続させる」旨の遺言(夫から妻、あるいは妻から夫)
 (2)子のいない夫婦(あるいは夫又は妻)がその兄弟に相続させる遺言

 年齢が近いので予備的遺言をしておいた方が良さそうです。

 もちろん、配偶者が先に亡くなられた、あるいは指定した兄弟の一人が先に亡くなられた時点で、遺言書を改めて作成することもできますが、二度手間そして作成に費用もかかりますし、その他の事情で公正証書遺言を作成できなくなるかも知れませんのでお元気なうちに「予備的遺言」を活用して公正証書遺言を作成しておくことをお勧めしています。


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行政書士 富山致

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